日本頭頸部外科学会

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関水 真理子 - 私のキャリアパス

関水 真理子(慶應義塾大学病院 耳鼻咽喉科・頭頚部外科)

※所属は掲載日のものです

入局後、国内留学という形でがん研有明病院にも行かせて頂きました。がん研での研修は本当に勉強になりました。厳しい手術に臨む緊張感や、術後合併症との長い闘い、残念な転帰を辿る症例など、頭頚部外科医になるために必要な知識や技術、そして最後まで患者さんと向き合う気概を学びました。

その後、大学病院へ腫瘍班の助教として戻りました。各診療科にスペシャリストがいて、いつでも相談できる環境は大学ならではだと思います。形成外科、脳神経外科、歯科口腔外科、一眼科などの先生方と行う手術は奥深く、まだまだ勉強が必要だと感じます。

助教の間に妊娠・出産を経験しました。復職後、最初の数か月は外来診療のみで入院や手術の担当を外して頂くなどのご配慮も頂きました。子供は最初の1年はしょっちゅう熱を出したり、常に鼻水が垂れていたりといわゆる集団保育の洗礼を受けていましたが、病児保育も完備されている保育園と、夫や実家の両親に助けてもらいながら何とか仕事を続けることができました。

子供も今は6歳になり、ほとんど熱も出さずに毎日元気に保育園へ通っています。私の仕事も大分理解しているようで、急な呼び出しや当直の時には、「呼ばれちゃったの?頑張ってね」と言ってくれます。再建手術で帰りが遅くなる時は、夫が夕ご飯を食べさせて、寝かしつけておいてくれます。家族に支えられて、今の仕事ができているのだと常に感じています。

頭頚部外科の魅力は何といっても手術ですが、複雑な解剖がそれを更に面白くしています。層が重なったような頸部の解剖と、鼻腔から頭蓋底、口腔咽頭、副咽頭間隙などの立体的な解剖の中に重要な神経や血管が走行しています。どのようなアプローチが良いか、切除ラインはどうするか、機能はいかにして温存できるのかなど、手術の前からプランを考える楽しさがあります。また、診断から治療、緩和に至るまで患者さんの人生に寄り添いながら一緒に病気と戦うがん診療は大変なこともありますが、非常にやりがいがあります。

医学部生、研修医の皆さん。まずは是非頭頚部手術の見学にいらしてください。できれば事前に手術に関連する解剖を勉強してきて頂くと、より面白さが伝わると思います。頭頚部手術にはどこまで行っても技術を磨き進歩できるポイントがあり、一生興味を持ち続けて向き合える領域です。ライフイベントによっては、長時間手術などへの参加が難しい時期もあるかと思いますが、例えば外来診療中心にしたり、腫瘍内科のような立場でがん診療に関わることもできます。耳鼻咽喉科だけでなく頭頚部外科の道にも、柔軟な選択肢が拡がっています。頭頚部外科に沢山の仲間が入ってきてくれることを期待しています。

略歴

  • 学歴
    2004年 慶應大学医学部卒
  • 職歴
    2004年 栃木県済生会宇都宮病院 初期臨床研修医
    2006年 栃木県済生会宇都宮病院 耳鼻咽喉科
    2007年 慶應義塾大学病院 耳鼻咽喉科 専修医
    2008年 けいゆう病院 耳鼻咽喉科
    2010年 がん研究有明病院 頭頸科 レジデント
    2013年 慶應義塾大学病院 耳鼻咽喉科・頭頚部外科 助教
    2020年 慶應義塾大学病院 耳鼻咽喉科・頭頚部外科 講師
更新日時:2020年11月6日
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