日本頭頸部外科学会

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千田 邦明 - 私のキャリアパス

千田 邦明(山形大学耳鼻咽喉・頭頸部外科)

※所属は掲載日のものです

現在では定着した感のある新医師臨床研修制度ですが、私が研修医を初めた2004年度に始まりました。それまでは山形大学耳鼻科に入局する多くの医師は卒後すぐに入局していましたし、全国的にも研修医の4割程度が単一診療科によるストレート方式による研修を受けていたようです。新たに始まる制度を前にして、医学部6年生の時には「すぐに専攻科を決めなくてもよくてラッキー」程度に思っていたことを覚えています。元々研修医義務化前よりスーパーローテート方式による研修を行っていた病院に進みました。研修医1年目は覚える手技、薬剤、当直業務などで忙殺され専攻科を決めることなど全く考えられませんでした。現在でもそうですが、研修医2年目には自由に科を選択できる期間があり、それを決める段階になり専攻科を考え始めた時でした。その病院の耳鼻科科長とは学生時代もお世話になったこともあり耳鼻科を選択して研修し、耳鼻科医になることを決めました。

その後、耳鼻咽喉科医として口蓋扁桃摘出術、内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)、鼓膜形成術、甲状腺・耳下腺手術などの手術修練、日々の外来診療などを通して研鑽を積んでいきました。耳鼻咽喉・頭頸部外科領域は、その名の通り耳・鼻・のどであり臨床診療の分野も広いことが特徴ですし、五感の聴覚・味覚・嗅覚を扱う分野です。子供の口蓋扁桃摘出術を行いいびきがなくなったと母に感謝されたり、ESSを行い鼻症状が改善したと喜んでもらえたり、耳の手術をして聞こえるようになったと一緒に喜んだこともありました。そのような「機能を改善する手術」も魅力的でしたが、頭頸部外科では直接「命を救う」、救うためにどのような治療が良いか、「機能を守る」ためにはどのような治療が良いか、そのバランスを取って個々に治療を提示して患者さんやその家族と治療を決めていくことに非常に魅力を感じ、頭頸部外科医を目指すようになりました。

2009年から大学院に入学し、生理学教室で実験に明け暮れました。この時に建設的な思考過程などを学んだことは、臨床で非典型的な症例を診断・治療していくにあたって非常に役立っていると感じています。

私の頭頸部外科医としての転機は2015年からの1年半年間、埼玉県立がんセンターでお世話になったことです。年間100件以上の再建手術があり、また縦隔手術などを学ばせていただきました。何より東京医科歯科大学からの先生など他大学からの先生方とのディスカッション、共に手術したことなどは、何事にも替え難い時間でした。

これを読んでいる医学生のみなさん、研修医のみなさん。少しの期間でも良いので研修医の時に耳鼻科に研修に来てみてください。中耳炎や鼻出血、めまい、上気道狭窄など、今後どの科に進んでも役立つ技術・技能だと思います。そこで面白いと感じたら耳鼻咽喉・頭頸部外科へ、さらに「命を救う」「機能を守る」頭頸部外科に魅力を感じその道に進んだら、お会いできる日を楽しみにしています。

略歴

2004年3月山形大学医学部医学科卒
2004年4月山形県立中央病院研修医
2006年4月山形県立中央病院後期研修医
2007年4月山形県立新庄病院耳鼻咽喉科
2009年4月山形大学耳鼻咽喉・頭頸部外科医員
2012年3月山形大学医学部医学系研究科博士課程卒
2014年10月日本海総合病院耳鼻咽喉科
2015年10月埼玉県立がんセンター頭頸部外科
2017年4月山形大学耳鼻咽喉・頭頸部外科助教
現在に至る。

更新日時:2020年10月26日
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