日本頭頸部外科学会

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北野 睦三 - 私のキャリアパス

北野 睦三(近畿大学病院 耳鼻咽喉科)

※所属は掲載日のものです

頭頸部癌を専門にしたきっかけは高校生の時の入院で隣にいた右顔半分をガーゼで覆った30代の患者さんとの出会いです。母から上顎癌で目も取っていると聞き、かなりのインパクトでした。

頭頸部癌は耳鼻科が扱う疾患のため、耳鼻科入局としました。まずは一般耳鼻科をしっかり勉強したいと思いましたが、大学では扁桃摘出術でさえ、なかなか術者になれません。そのため症例が多い市中病院での研修を希望し、国立国際医療センターに行くことにしました。ちょうど東大から移動した音声・嚥下専門の田山先生の下で学ぶことになり、頭頸部癌にとって大切な機能もですが、医師としての基本も教えて頂きました。レジデントが終わり、もう少し一般耳鼻科の勉強がしたいと思ったので、症例の多い竹田綜合病院を紹介してもらいました。地方の基幹病院のため、多くの貴重な経験を積むことができ、そして、非常勤で来ていた当時がん研の部長の川端先生と副部長の三谷先生に、癌の勉強がしたいということを伝えたことが、その後のがん研にいくチャンスとなったのです。国立国際医療センターのスタッフの退職により週2回ほど多磨全生園で働くことになりました。そこはハンセン氏病の療養所で、のんびりした村のような感じです。しかしそこには悲しい歴史があり、臨床と違う医療の一面を学ぶことができました。そして、がん研のレジデント枠の空きを教えて頂いたことで、がん研にいく機会が生まれました。川端先生をはじめスタッフの先生の頭頸部外科医を育てるという理念のおかげで、オペレーターになる機会を平等に与えて頂き、知識はもちろん患者さんへの接し方や態度など含め全人的医療を教えて頂きました。家族のこともあり、大阪に戻ることになりましたが、南大阪の頭頸部癌治療に貢献できるのも、教えて頂いた先生方のおかげと感謝しています。

頭頸部癌が好きなので頭頸部外科をしていますが、改めてその魅力をあげてみると音声・嚥下・容姿など患者さんのQOLと直結する科であり、また幅広い手術内容であることです。再建手術のような大きな手術もあれば、良性疾患の手術もあり、さらに甲状腺などの内分泌外科手術もあります。また、内視鏡を使った喉頭や咽頭の経口切除、甲状腺のVANS法そして唾液腺の唾液腺内視鏡があり、さらにロボット手術もあります。頭頸部外科=長時間手術では決してなく、バリエーションに富んでいるため、再建手術を皆が習得する必要がなく、自分の目標やライフスタイルに合わせて習得することができます。もちろん、手術手技を覚えるのは楽ではないですが、しかし、十分答えてくれる面白さがあります。そして、手術以外にエコーなどの画像診断や、支持療法の栄養療法などもできることです。

最後に医学生や研修医からは「不器用なんで、外科系は向いていないと思う」「頭頸部は長いから大変」という意見を頂きますが、私自身の経験から向き不向きでなく、興味があるかないかです。また長いオペだけでなく、いろいろな分野があり、それぞれ面白さがあることを知って頂き、頭頸部外科に興味を持って頂けたら嬉しく思います。

略歴

2000年 近畿大学医学部卒業 同年、近畿大学病院 耳鼻咽喉科 研修医
2002年 国立国際医療センター 耳鼻咽喉科 レジデント
2005年 財団法人竹田綜合病院 耳鼻咽喉科 医員
2007年 国立療養所多磨全生園 耳鼻咽喉科 厚生労働技官
    国立国際医療センター 耳鼻咽喉科 併任厚生労働技官
2008年 財団法人がん研有明病院 頭頸科 シニアレジデント
2013年 近畿大学病院 耳鼻咽喉科 医学部講師

更新日時:2020年11月6日
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