日本頭頸部外科学会

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喉頭がん

喉頭がんとは

喉頭がんは声帯を中心としたのどにできるがんで、進行すればそれまでの声を失うがんですが、実際には早期発見早期治療により多くの方は声を温存しながら病気の治癒が得られています。日本では1年間に約5500人が新たに診断されます。たばこと関係が深く、非喫煙者ではまれです。そのため、男女比は約10:1で、60歳以上(たばこ:20本/日×40年以上)の男性が多くを占めます。喉頭がんのうち3人に2人は声帯から発生するため、初期の段階で嗄声(声かすれ)の自覚症状が出ます。声帯以外の所から発生する残り1/3の方では、早期にはのどのイガイガ感程度で自覚症状に乏しく必ずしも嗄声を伴うとは限りません。進行すると、のどの痛みや血痰が出現したり、首にしこりを触れるようになったりし、呼吸困難が生じるようになります。2週間以上嗄声やのどのイガイガ感が改善しない場合や首のしこりが触れる場合には、耳鼻咽喉科・頭頸部外科を受診することをお勧めします。

検査

喉頭がんが疑われた場合、内視鏡やファイバースコープを用いて診察を行い、生検といって腫瘍の一部を米粒程度採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を確認する検査が行われます。結果が出るのに通常1週間~2週間かかります。がんの深さを診断するためや頸部リンパ節転移の有無を診断するために造影CTが行われます。これらの検査の結果次第では、他の部位への遠隔転移を有無の診断のためにPET検査が追加される場合もあります。

治療

ステージIでは放射線治療が一般的ですが、非常に小さな病変に対しては全身麻酔下に内視鏡やレーザーなどを用いた切除も行われます。ステージII・IIIの多くは、放射線治療に抗癌剤を加えた化学放射線療法や喉頭温存手術で声を温存しながら根治を目指すことができますが、ステージIVの進行がんに対しては喉頭全摘出術を行わざるを得ない場合が多くなります。

治療後

放射線を主体とした治療は約7週間の治療期間で、のどの乾燥に伴う違和感が後遺症として残ります。また、嚥下障害が生じた場合には誤嚥性肺炎に注意が必要となることもあります。喉頭全摘出術後は首の穴(気管孔)からの呼吸となり、約10日後から経口摂取が開始になります。術直後は筆談ですが、代用音声(食道発声や人工喉頭、シャント発声など)の習得により新たな声での生活となります。退院後は定期的な通院による経過観察とCTなどの検査を行う必要があります。国立がん研究センターがん情報サービスによると、ステージ別の5年相対生存率はステージI/ II/ III/ IVがそれぞれ95%/90%/72%/48%と報告されています。

更新日時:2020年11月5日
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