日本頭頸部外科学会

一般のみなさん

甲状腺がん

甲状腺はのどぼとけのすぐ下にある蝶ネクタイ形の小さい臓器ですが、新陳代謝を司る甲状腺ホルモンの分泌という重要な役割を担っています。この甲状腺に出来るがんが甲状腺がんです。甲状腺がんは1年間で約19,000人の方が罹患されますが、この癌でお亡くなりになる方は1年間で1,800人程度(2016年全国癌登録)にとどまっており、全体としてはおとなしいタイプの癌あると言うことが出来ます。
甲状腺がんの基本的な症状は甲状腺があるのどぼとけの下のしこり(コブ)です。癌が進行して頸部リンパ節転移を生じると首の横にもコブを触れるようになります。注意すべきは数年前からあるくびのコブです。他の部位の頭頸部がんと異なり甲状腺がんは年単位でしか増大しないことも多く、単なるおできや脂肪のかたまりと言われて様子を見られていることがあります。数年前から大して大きさが変わってないからと言って、がんの可能性が全く無いわけではありませんので注意が必要です。他の代表的な症状としては甲状腺がんが声帯の神経を障害することで生じる声がれがあります。なお甲状腺の病気の中にはバセドウ病(甲状腺機能亢進症)や橋本病(甲状腺機能低下症)など甲状腺ホルモンの量に異常をきたすものもありますが、大部分の甲状腺がんではホルモンの異常は起きません。くびのコブや声がれを生じた場合はお近くの耳鼻咽喉科・頭頸部外科を受診してください。治療を担当する診療科は頭頸部外科、耳鼻咽喉科、内分泌外科、甲状腺外科です。診断した医師の所で治療が出来ない場合はこれらのうち地域や病院の事情にあった適切な診療科に紹介されます。どうぞ安心して受診して下さい。
甲状腺がんの種類(組織型)には乳頭がん濾胞がん髄様がん未分化がんがあります。これらは手術が基本的な治療法になります。詳細は各組織型のページを参照してください。

なお手術以外の方法で治療するがんとして血液のがんである悪性リンパ腫が甲状腺に出来ることがあります。悪性リンパ腫はリンパ球(免疫細胞)のがんで全身どこにでも発生します。甲状腺ではご自分のリンパ球が甲状腺を攻撃してしまう橋本病(慢性甲状腺炎)という病気がありますが、このリンパ球ががん化すると甲状腺にも悪性リンパ腫を生じます。頻度は甲状腺がんの1-5%です。治療は抗がん剤が中心であり血液内科医が担当します。当サイトでは悪性リンパ腫以外の甲状腺がんについて解説いたします。

更新日時:2020年11月5日
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