日本頭頸部外科学会

一般のみなさん

ヒト乳頭腫ウィルス(HPV)関連

HPV関連中咽頭がんとは

HPV非関連がんが高齢男性に多く認められるのに対して、HPV関連がんは比較的若いかたや女性に増えています。頸部に転移したリンパ節腫脹が初発症状となる事もあります。のどの違和感・痛み、飲み込みにくさ、首のしこりなどが2週間以上続くようであれば、耳鼻咽喉科・頭頸部外科を受診することをお勧めします。

検査

中咽頭がんが疑われた場合、内視鏡やファイバースコープを用いて診察を行い、生検といって腫瘍の一部を米粒程度採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を確認する検査が行われます。これと同時に、HPV感染の有無を調べるために、組織を特殊な抗体で染色します。結果が出るのに通常1週間~2週間かかります。がんの広がりや頸部リンパ節転移の有無を診断するために造影CTやMRI検査が行われます。これらの検査の結果次第では、他の部位への遠隔転移を有無の診断のためにPET検査が追加される場合もあります。

治療 HPV関連がん

HPV関連中咽頭がんは抗がん剤や放射線が効きやすくHPV非関連がんに比べて予後のよいがんです。早期の小さながんに関しては手術切除か放射線治療が選択されます。進行がんに対しても、手術ではなく抗がん剤併用の放射線治療で嚥下発声の機能を温存する治療を行うことが一般的になっています。手術切除が必要な場合には、太ももやおなかの筋肉と皮膚を移植して形態機能の改善を図ります。

治療後 HPV非関連がん

抗がん剤併用の放射線治療・手術のどちらの場合も、飲み込みが悪くなり誤嚥性肺炎を起こしやすくなる事があります。抗がん剤併用の放射線治療では唾液が出にくくなります。退院後は定期的な通院による経過観察とCTなどの検査を行う必要があります。頭頸部がん治療施設の多施設共同研究によると、ステージ別の5年相対生存率はステージI/ II/ III/ IVがそれぞれ86%/80%/65%/50%と報告されています。

更新日時:2020年11月5日
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