日本頭頸部外科学会

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顎下腺がん

顎下腺がんとは

顎下腺がんとは大唾液腺の一つである顎下腺に発生する悪性腫瘍(がん)で、唾液腺がん全体の2~3割を占めます。顎下腺はあごの下に左右一対存在する母指頭大の臓器です。症状は他の唾液腺がんと同様に当初無痛性の腫瘤として自覚することが多いですが、増大・進行とともに痛みやしびれなどが出現することもあります。これらの症状が出現した場合は悪性腫瘍の可能性を考える必要があります。また、顎下腺腫瘍全体の約5割が悪性腫瘍とされており、その比率の高さも特徴の一つです。

検査

病変に直接到達することはできないため組織診(生検)は通常行われず、穿刺吸引細胞診で良悪性の鑑別と可能ならば病理組織型の診断を行います。超音波、CT、MRIで腫瘍の性状、進展範囲、転移の有無を評価し、必要に応じてPET検査で遠隔転移の全身検索を行います。

治療

手術が治療の第一選択で、顎下腺全体を腫瘍とともに切除する顎下腺全摘術を行います。病変が周囲の神経、筋肉、骨、皮膚などに進展している場合は、それらの組織も合わせて切除する必要があります。切除による欠損が大きい場合は、自分の他の部位(大腿など)から皮膚や皮下脂肪などを栄養血管とともに移植する遊離組織移植が行われます。頸部リンパ節転移がある場合や潜在的転移の可能性が考えられる場合は、頸部郭清術も同時に行われます。切除検体の病理結果によっては術後に放射線治療が追加される場合もあります。

治療後

退院後は定期的な触診や画像検査などによる経過観察行っていく事になります。再発や転移が出現した場合、切除可能であれば手術となりますが、切除不能であれば放射線療法や薬物療法を検討することになります。ただし、その際の予後は厳しくなります。

更新日時:2020年11月5日
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