特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
理事長 朝蔭 孝宏
(東京科学大学 頭頸部外科)
理事長就任にあたり
この度、日本頭頸部外科学会の理事長を拝命いたしました、東京科学大学頭頸部外科の朝蔭孝宏です。 このような大役を仰せつかり、大変光栄に存じますとともに、その責務の重大さを痛感し、身の引き締まる思いでおります。これからの2年間、本学会の発展のために全力で取り組んでまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
私は今回で理事4期目となります。これまでは、本学会の重要な業務の一つである「頭頸部がん専門医制度委員会」に長年携わってまいりました。また、ホームページの刷新を行い、各地域の患者さんが地元の頭頸部がん専門医や認定施設を検索できるシステムを構築しました。この2年間は、アルミノックス運営委員長として、本治療の推進に尽力するとともに、多忙な委員の負担を軽減すべく、システムの改良や修正を迅速に行ってまいりました。
今後の2年間においては、以下の5つの項目に重点的に取り組んでいきたいと考えております。
1)優秀な頭頸部がん専門医の育成
本学会の最も重要な使命は、優秀な頭頸部がん専門医の育成であると考えております。試験制度の見直しを含め、より多くの優れた専門医を輩出するための方策を検討してまいります。また、専門医機構に働きかけ、既に申請中のサブスペシャルティの認定取得を進めてまいります。さらに、耳鼻咽喉科医ががん薬物療法専門医を取得できなくなった場合に備え、本学会が受け皿となる体制の整備も進めてまいります。
2)他科との競合領域におけるイニシアチブの確立
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(日耳鼻)の「近未来の耳鼻咽喉科WG」と緊密に連携し、口腔がんや甲状腺がん治療において耳鼻咽喉科頭頸部外科医のプレゼンスを高め、これらの領域でイニシアチブを確立してまいります。
3)国際化の推進
猪原前々理事長、平野前理事長が牽引してきた本学会の国際化の流れを引き継ぎ、さらに推進してまいります。総会ではインターナショナル・セッションを設けるとともに、海外学会への会員の参加を促進してまいります。
4)新規治療の推進
世界に先駆けて実施されている「切除不能再発・転移頭頸部がんに対するアルミノックス治療」について、その適応を厳格に守り、必要な患者さんに適切に提供できるようサポートしてまいります。また、頭頸部がんに対するロボット治療についても、安全第一の方針を維持しながら指導・管理を継続し、症例登録を行うとともに、低侵襲治療としての発展を目指してまいります。
5)会員数の増加
2025年1月時点での本学会の会員数は2,181名であり、日耳鼻会員の19%に相当します。そのうち女性会員は369名で、全体の16.9%にとどまっています。一方、日耳鼻では女性会員の割合が25.3%と4分の1を超えています。本学会においても、より多くの女性医師の参加を促し、日耳鼻と同等の比率を目指してまいります。
また、本学会は「頭頸部がん専門医を目指す医師のための学会」と誤解されることがありますが、それだけにとどまりません。頭頸部のみならず、外科的手技を行うすべての耳鼻咽喉科医にとって魅力的な学会として発展してまいりました。ぜひ多くの先生方にご入会いただきたく存じます。
最後になりますが、本学会のさらなる発展には、理事や代議員の先生方のご尽力はもちろんのこと、若手医師の斬新なアイデアや情熱が不可欠であると考えております。「本学会で取り組んでみたい」と思うプロジェクトやアイデアがございましたら、ぜひ朝蔭または事務局までご連絡ください。みんなで本学会を盛り上げていきましょう!