日本頭頸部外科学会

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舌がん

舌がんとは

舌がんは口のなかにできるがんのなかで最も多いがんです。日本では1年間に約4200人が新たに舌がんと診断されます。多くの場合、舌のふちにできます。早期では自覚症状に乏しく、白色や赤色の病変が見られるだけの場合もあります。少し進行すると、舌に潰瘍ができたり、しこりを触れるようになり、痛みを自覚するようになります。早期の段階では、病院を受診しても口内炎と診断され、軟膏を処方される場合もありますが、2週間以上続けても改善しない場合は、耳鼻咽喉科・頭頸部外科を受診することを強くお勧めします。

検査

舌がんが疑われた場合、まず外来で視診、触診が行われます。また、生検といって腫瘍の一部を米粒程度採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を確認する検査が行われます。結果が出るのに通常1週間~2週間かかります。がんの深さを診断するために造影MRI、頸部リンパ節転移の有無を診断するために造影CTが行われることがあります。これらの検査の結果次第では、他の部位への遠隔転移を有無の診断のためにPET検査が追加される場合もあります。

治療

ステージI, IIの早期舌がんに対しては、全身麻酔下に舌がんを一回り大きく切除する舌部分切除術が行われることが一般的です。また、放射線を発する針を舌に埋め込み、がんを消滅させる放射線治療が行われる場合もあります。どちらの場合も治療後1~2年の間に約30%の方に術後頸部リンパ節転移が出現します。そのため舌部分切除時に頸部のリンパ節を切除する手術(頸部郭清術)を併せて行う場合もあります。ステージIII, IVの進行舌がんに対しては広範囲切除、頸部郭清術が行われます。また同時に、舌の欠損部に対して、ご自身のお腹もしくは太ももの皮膚および筋肉を移植する遊離皮弁移植術が行われます。病理組織検査の結果次第で術後化学放射線治療が追加される場合もあります。

治療後

切除範囲に応じて術後1~14日で経口摂取が開始されます。舌先が切除されるような進行がんでは食事の飲み込みがうまくいかず誤嚥が生じる場合があります。摂取できる食事の形態もペースト、ゼリー状などの制限が生じる場合があります。また、発語も切除範囲に応じて悪くなります。リハビリによりある程度の回復は期待できます。退院後は定期的な通院が必要となります。時々CTなどの検査も行う必要があります。国立がん研究センターがん情報サービスによると、ステージ別の5年生存率はステージI/ II/ III/ IVがそれぞれ94%/80%/61%/49%と報告されています。つまりステージIでもお亡くなりになる方もいらっしゃる一方で、ステージIVでも約半数の方は元気に過ごされているということになります。

更新日時:2020年11月5日
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