日本頭頸部外科学会

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頬粘膜がん

頬粘膜がんとは

ほっぺたの内側の粘膜にできるがんです。口腔がんの中でも珍しいがんでその発生頻度は口腔がん全体の10%程度とされています。日本では1年間に約200~300人が新たに診断されます。早期では自覚症状に乏しく、白色や赤色の病変が見られるだけの場合もありますが、進行すると、しこりができて、口が開けにくくなる、しこりの部分を噛んでしまう、出血する、痛みを感じるなどの症状が出てきます。早期の段階では、病院を受診しても口内炎と診断され、軟膏を処方される場合もありますが、2週間以上続けても改善しない場合は、耳鼻咽喉科・頭頸部外科を受診することを強くお勧めします。

検査

頬粘膜がんが疑われた場合、まず外来で視診、触診が行われ、生検といって腫瘍の一部を米粒程度採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を確認する検査が行われます。結果が出るのに通常1週間~2週間かかります。がんの深さを診断するために造影MRI、頸部リンパ節転移の有無を診断するために造影CTが行われることがあります。これらの検査の結果次第では、他の部位への遠隔転移を有無の診断のためにPET検査が追加される場合もあります。

治療

全身麻酔下の手術による摘出が標準治療です。粘膜に腫瘍がとどまっていれば、頬粘膜がんを一回り大きく切除することが一般的です。切り取った粘膜欠損をそのままにすると傷が固くなって口が開けにくくなるので、人工の皮膚やほっぺたの脂肪などで補う手術を行うことが一般的です。あごの骨や顔面の皮膚を一緒に切除しないといけないような進行がん症例では、ご自身の皮膚と筋肉に加えて骨を移植する遊離皮弁移植術が行われます。頸部リンパ節転移を伴っている場合やその可能性が高い場合には、同時に頸部のリンパ節を切除する手術(頸部郭清術)を行います。手術後の病理組織検査の結果次第で術後化学放射線治療が追加される場合もあります。

治療後

切除範囲に応じて術後1~14日で経口摂取が開始されます。食事の飲み込みや会話に障害が生じることはまれですが、特に進行がんでは口が開けにくくなる後遺症が生じる可能性があり、口を開ける訓練が必要になります。退院後は定期的な通院が必要となります。定期的にCTなどの検査を行う必要があります。

 

更新日時:2020年11月5日
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